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第二十五話 帰郷

last update تاريخ النشر: 2026-07-15 16:45:31

 時は過ぎ、六月二週目に突入した。カンブリアン・アクアリウム独特の、大型連休突入である。

 ちょうど、案内課トリオと企画課コンビが、前半にお休みをいただくこととなった。

「また二週間後」

 傘を差し、バス停でバスを待つ、らいあを除いた四人娘。

「うん、また二週間後」

 らいあは四人に声をかけ、バイクで去っていく。ちなみに、不在時のミニサボテンのお世話は、後半組の同僚に頼んである。

 水族館といえば、普通は沿岸部にあるものだが、カンブリアン・アクアリウムは、東京都の調布市という内陸部にある。

 なんで、沿岸部にしなかったのかは謎だが、池袋にも水族館があるので、それほどおかしい話でもないのかも知れない。

 調布駅で、「では、また二週間後会いましょう」と言い、まりんだけ下りホームに向かう。

 特急 (※京王線の特急は、JRなどでいう急行にあたる)に乗り、あっという間に府中へ。

 下車すると、駅近くのマンション地帯に向かい、マンションの一室に入る。

「ただいまー」

 誰もいない。両親共働きで、妹も高校生。そして、今日は火曜日だ。

(なんだか、すごく久しぶりな気がする)

 寮生活を始めてから、
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    「あのじろうくんも、なんとついに、二十五歳になりましたー! ギネスブックを、また更新です!」 客から、盛大な拍手が送られる。 あのじろう生誕二十五周年&カンブリアン・アクアリウム開設二十周年のお盆イベント。 入場者には缶バッジが配られ、すでに着けている客も少なくない。 五年前のお盆イベント以来、缶バッジ無料配布は、恒例になっていた。 盛り上がる、アノマロカリス水槽を担当するのは、雁州まりん。 すっかりベテランの風格が出てきて、だいぶ大人っぽくなった。 奈良奏は、コリンズ不在につき、イギリス人団体客の、案内中。 織田らいあは、お盆で久々に大盛況となったエディアカラ別館で、接客に大忙し。普段は、マイペースにやっている。 五年前、絶滅展を成功させた春木あくあと、缶バッジ&「あのじろうが大人になるまで」企画を成功させた波部里愛は、その後もヒット企画をいくつか出し、完全に出世コースに乗った。 また、あくあは約束通り、エディアカラ企画をヒットさせ、らいあと奏との約束を果たした。 ◆ ◆ ◆ そして、翌春。「雁州まりんです。あなたの指導役を務めます。よろしくね」 眼前の人物に、微笑む。未来のベテランを育てるべく、新人研修を行うまりんであった――。

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     七月も二週目に入り、いよいよ絶滅展の準備も大詰め。企画課は、目の回るような忙しさだった。(確かに、これアタシ中心で回してたら、アタシ潰れてたかも……) 冷静に自分が見られるようになった今、あくあはそう思うのであった。 一方、案内課の話。 トークショーの解説は、まりんでも奏でもらいあでもなく、かなりのベテランに決まった。 三人は残念であったが、この大掛かりなイベント、確かに自分の身に余ったろうとも思う。 担当者は通常業務を外れ、絶滅展の内容を頭に叩き込んでいる。 絶滅に関するアンケートは、すでに厳選してまとめられ、教授からの回答を得ている。さすがに、ぶっつけ本番ではやらない。ただ、教授も担当案内員も、「初めて知りました」という体で、イベントを進めることになっている。 担当は、子供にわかりにくそうなところは、事前に入念にチェックし、いかに噛み砕いて説明するかを、シミュレート。 こうして、瞬く間に七月二十日、夏休み突入前日。「いよいよだね」「うん」 絶滅展の巨大パネル設置作業を、仕事帰りに眺めながら、感慨にふけるまりんとあくあ。そして、先輩トリオ。「ここまできたんだなあ……」 あくあがつぶやく。各課の事前準備は、間に合った。あとは、当日の進行を必死に頑張るだけだ。「いつまでも見てたいのはわかるけど、御飯終わっちゃうよ? 帰りましょ」 里愛に促され、寮へ向かう一同であった。 ◆ ◆ ◆「そういえばさ、まりん。謝っておきたいことがあって」 相部屋で、そう切り出すあくあに、きょとんと首を傾げる当人。「あのじろう騒ぎのときさ、力にならせろとか、環境は整えてやるとか大口叩いといて、結局何もできなくてさ。ごめん!」 深々と、頭を下げる。「ううん、気にしないで。その気持ちが、一番ありがたかったよ。私のこと、心の底から心配して、何かできないか必死に考えてくれてたんだなって」 微笑むまりん。「ありがとう」 同時にそう言い、強く握手する。 明日の決戦に備え、よく食べ、清潔にし、よく眠る寮生たちであった。 ◆ ◆ ◆「まずは、この質問から。エデンと呼ばれた時代の、エディアカラ生物が滅んでしまったのはなぜですか?」 らいあの質問だ。「いい質問ですね。エディアカラ生物が滅んでしまったのは、楽園過ぎたため動物が増えすぎて、海の状態が、非

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    「雁州さん、無断欠勤したわ……」 昼休み。社員食堂で、奏が非常に重い表情で、いつもの三人に言う。「えーっ! めちゃめちゃまずいですよ、それ!」 今、まりんの立場は非常に悪い。そこに、無断欠勤をやらかした。「折を見て、メッセージを送ったり、コールしてみたりしてるんだけど、全然返事なくて」「このままじゃ、ほんとに首が飛ぶぞ」 らいあも、強い危機感を覚える。「これじゃ、わたしがいくら課長を説得しても……」 頭を抱える奏。「ちょいとごめんよ。波部里愛って人、知らないか?」 飼育課のネームプレートを下げた中年男性が、四人に問う。「あ! 私です! なにかご用でしょうか?」「ああ、やっと見つかった。この署名の、雁州まりんってのは、一昨日飼育課に、あのじろうの異変を知らせに来た子かな?」「飼育課はわかりませんけど、ドクターに診てもらったって言ってましたよ!」 あくあが、一昨日の会話を思い出す。 それを聞いて、うんうん頷く彼。「やっぱり、あの子だな。署名、期待しといてくんな」 そう言うと、彼は去って行く。 狐につままれたような感覚で、食事を再開する四人であった。 ◆ ◆ ◆「これ見て!」 終業後、寮に帰ってきた里愛が、奏たちに署名ページを見せる。 するとそこには、二百以上の賛同がついていた。「え? マジすか、これ……」 呆然とするあくあ。しかし、一気に我に返り、自室に突撃する。「起きろ、まりん! お前には、二百人以上の味方がいるぞ! 二百人以上の社員が、お前の復帰に賛同してるんだ!」 無視。「い・つ・ま・で・も……ふてくされてんじゃねぇーっ!!」 布団を引っ剥がし、叩き起こす。それでも、視線を合わせようとしないまりんの両頬をひっつかみ、視線を合わさせる。「アタシだって、やべー時期あったよ! でも、立ち直るきっかけのアイデアくれたの、お前だって、波部先輩から教わったよ! 今度は、アタシに力にならせろ! 親友だろ!? なあ! 無力なの、辛いんだよ!!」 あくあは、泣いていた。「アタシと先輩方だけじゃない、お前には二百人以上の味方がいるんだ! みんなの気持ちを、無駄にすんなよ!」 まりんが、やっと自発的に視線を合わせる。「私、やり直せるかな……?」「それは、お前次第だよ。環境は、できる限り整えてやる」「ありがとう。ごめ

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